現象学的社会学 phenomenological sociology
これを踏まえて現象学的社会学者たちは、「現実」なるものは、誰にとっても同じ意味を持つものとして、客観的に(私たちの意識とは無関係に)存在するようなものではない、と主張する。つまり、ある人にとって「当たり前」のことでも、他の人にとっては、そうとは限らない。あるいは、ある人にとって「正常」だと思われる事柄も、他の人にとってはそうとは限らない。「現実」とは、私たち一人ひとりが、他者との相互作用を通じて作り上げ、それを本当のことだと思い込んでいるものなのである。
そうした風潮と歩調を合わせるように、現象学的社会学は、私たち一人ひとりの主観的な意味づけこそが、「現実」を作り上げていくものであるという主張を掲げ、当時の社会学界で優勢だった 構造機能主義 の向こうを張る 意味学派 の一翼を担ったのであった。